2022-12-23 UP!

これまで、縄文時代・縄文人を身近に感じてもらえたらといった切り口で、『土の中からでてきたよ』、『縄文美術館』を出してきましたが、どうも一番身近に感じてもらえるのは「土偶じゃないか?」となって、「土偶」でまとめてみようと始まったのが今回の『土偶美術館』です。

初めての土偶撮影から40年以上経っていました。

土偶と出会って40年

40年以上前、日本中の縄文土器を取材する企画の旅の途中、秋田県立博物館で土器の撮影後に時間に余裕があったことでを撮らせてもらったのが「赤彩の残る結髪土偶」(110頁 ①)だったと思います。「土偶」の撮影最初となりました。
次第に土器の撮影にも慣れ、博物館、郷土館、発掘事務所などで土器以外の知識も増え、興味も土器以外にも広がり、時間があればアレコレを撮らせてもらい、近隣に面白い出土品のある場所を紹介されれば、予定外の取材を繰り返していきました。
そんなこんなで撮りためたものも増え『土の中から出てきたよ』『縄文美術館』そして、『土偶美術館』という形になっていきました。

新しい視点で

この『土偶美術館』に関しては、これまでの優品としてよく知られているものにも新しい視点を加えて紹介しています。
これまで、土偶の表裏は180度転回した正面・裏面2画面を並べて掲載していますが、これはちょっと固く、学術的で、博物館といった雰囲気になってしまうので、表裏の姿を“群像”として見てもらえるようにしました。
表と裏を群像として並べると、ソフトに土偶を捉えられ、また後ろ姿として仕上げや文様を余裕を持ってみることができるように思い、出来るだけ多くの土偶を”群像”にして紹介しました。

知られていない土偶を

学術的な視点で選ばれがちなスタメン土偶だけでなく、好奇心、アマチュアの目で面白いと思ったものを加えています。
例えば、発掘報告書の口絵の撮影依頼で出会った土偶(81頁⑦)。モノクロームの撮影依頼でしたが、これは‟全国区”候補になりそうだ!と判断し、自己取材としカラーで撮り、『土の中から出てきたよ』の表紙にした後、パリの縄文展に出張したスターのような土偶もあります。
そんな、アマチュア、読者の目を意識して撮り集めたものがこの‟美術館“を楽しくしてくれていると思います。

※写真は土偶美術館(平凡社)より



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